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お寺ネット:仏事相談室
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[5644]Re:仏教的に新元..
..天台沙門
某政令指定都市に所在する寺を預かる天台を宗とする者の立場から。

論点は、日本の古典における漢籍の位置づけというものと、元号が崩御した天皇の名であるということの2点が考えられます。

手元の資料ですが、犬養孝『万葉の旅・下』の126頁に「梅花の宴」との章があります。
そこでは「貴族名門の生いたちに加えて中国の詩文の豊かな教養をもとに」「梅花の歌三二首と中国詩文を模倣駆使した美文の序とが巻五に所収されている。序の一節に」と述べられ「時に初春のの令月、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き」と引用されています。

日本の古典を典拠にとはいいますが、あえて典拠が漢籍をふまえているということに触れないということは、逆に日本の古典への常識というか人の時代性への共感を欠いているのではと感じます。


さて。
上皇陛下は御存命ですが、崩御した天皇の名として元号が使用されるということを考えると、元号は天皇の死後の名すなわち戒名であると考えられます。
ここでは明代に成立した「一世一元の制」の目的などには触れません。

そうしますと、漢文を読む際に「令」の字は敬称として用いるよりも使役辞として用いる場合が一般的ですから、戒名としては使いづらい文字だと考えます。
経典から用例をあげると『妙法蓮華経・如来寿量品』の「自我偈」という部分では「令入於仏道」「令顛倒衆生」「令其生渇仰」「以何令衆生」と使用されていますが、すべて釈迦仏が主語・衆生が目的語となる使役態です。

私が預かる寺では明治以降「令」を用いた戒名はありません。


以上、ご参考までに。
..2019/05/05(日) 12:56
仏教的に新元号..
Re:仏教的に新元..
→Re:仏教的に新元..

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